側弯症の治療介入の一番の目的は何よりも先ずカーブの進行を食い止めることです。
現在、側弯症の発症原因やカーブによって進行しやすいものと進行しづらいものがある理由は解明されていません。
一説には脊柱を形成する遺伝子の問題なのではないかという研究もありますがどちらにしてもそこを治療することは今のところ不可能です。
しかしカーブの進行を促しやすい素因はある程度解明されています。
椎間板に加わる負荷が側弯症に影響する
カーブの進行には椎間板に加わる左右非対称の負荷が大きく関わります。
正確には椎間板と椎骨を連結している終板軟骨というものに左右非対称の負荷が加わり続けると強く負荷が加わる部分の終板軟骨が失われていきます。
それでもなお非対称の負荷が加わり続けると椎間板や背骨自体も変形してしまい「左右非対称の成長」を遂げます。
そうなるとさらにより強い左右非対称の負荷が加わり左右非対称の成長に繋がるという負の連鎖に陥ってしまいます。
思春期、もしくは成長期にカーブの進行が強く現れるのはこのことからも考えられます。
なので側弯症の進行を食い止め改善していくということはこの負の連鎖をいかに早く断ち切り正常な機能を取り戻すことに懸かっています。
- その点において適切な運動療法を身に付けることはとても優れています。
なぜなら自分のカーブにとって何が良い事で何がカーブを悪化させてしまうのかを自分自身で認識できるからです。
つまり負の連鎖の起点になる左右非対称の負荷を認識、改善できるのが1番の利点と言えるでしょう。
運動療法のメリットはねじれを改善する
もう1つ運動療法による大きな利点としては脊柱の回旋、ねじれを改善できるという点です。
側弯症の悩みの1つとして背中のでっぱり等の見た目の問題があります。これをhump(ハンプ)と呼びます。
これは脊柱のカーブよりもねじれ、回旋が大きく関与しているので、たとえ手術で背骨を固定しカーブ(コブ角)が軽減してもhump(ハンプ)は残ってしまうことが多いです。
しかし、この脊柱の回旋は病院等ではあまり重視されていません。
なぜかというと手術をするかどうかの基準はあくまでコブ角で、医学的に重要なのはそれによって引き起こされる症状になり見た目の部分はまた別の問題になるからです。
側弯症のために考案された運動療法では背骨の回旋を取り除くことも目的に含まれています。
見た目の改善は多くの患者様が望むところでもありますし、何より運動療法でカーブの進行を抑え軽減させていくには脊柱の回旋は決して無視できるものではないからです。
背骨がねじれてしまう状態というのはそもそも左右非対称の負荷が加わっているという事に他なりません。
- なので、側弯症の負の連鎖を断ち切るということは背骨の回旋は当然考慮されなければいけない要因なのです。
効果的な運動療法による治療は手術をしないで改善できる可能性やそのことによる費用面、患者さんとそのご家族の心身面の負担を軽減出来る等の利点もありますが
見た目の改善というのも大きな利点の1つと言えるでしょう。